空中超音波の制御による遠隔冷覚提示

空中超音波フェーズドアレイを利用して、遠隔から非接触で冷覚を提示する手法について提案しました。本研究の特徴は超音波フェーズドアレイの特性とミストの気化を組み合わせることで、空中に冷たい感触を提示することが可能です。

これまでに、空中で冷たい感触を提示する手法の試みは以下の2つであった。

1:集束超音波によるミストの気化を利用

2:音響流によるミストの空中輸送

集束超音波によるミストの気化を利用(2020~)

微細なミストを皮膚表面で急速に気化させることで気化熱により冷覚を提示します。具体的に集束超音波によって、ユーザーの皮膚表面の周辺に充満するミストを気化させて、指先程度のサイズでピンポイントで冷覚を提示します。したがって、長距離でのミストを空中輸送することなく、正確な位置で強力なコールドスポットを作り出すことが可能です。

関連論文

Mitsuru Nakajima, Keisuke Hasegawa, Yasutoshi Makino, and Hiroyuki Shinoda, “Spatiotemporal Pinpoint Cooling Sensation Produced by Ultrasound-Driven Mist Vaporization on Skin,” IEEE Transactions on Haptics. (Open Access, Early Access) doi: 10.1109/TOH.2021.3086516

受賞:Best Paper Award, 2022 IEEE Transactions on Haptics, Mitsuru Nakajima, Keisuke Hasegawa, Yasutoshi Makino, and Hiroyuki Shinoda(2022.3.22)

メディア

音響流によるミストの空中輸送(2017~2020)

超音波ビームにより生じた音響流を用いて、冷気をユーザーの皮膚表面に空中輸送することで遠隔的に冷覚を提示します。

2019~2020

研究成果:2020 IEEE/SICE International Symposium on System Integrationで発表

[PDF] Mitsuru Nakajima,Yasutoshi Makino and Hiroyuki Shinoda, “Remote Cooling Sensation Presentation Controlling Mist in Midair,” in Proc. 2020 IEEE/SICE International Symposium on System Integration, pp. 1238-1241, Jan. 12-15, 2020, Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii, USA.

図1:(左)超音波ビームが作動し、音響流でミストが空中輸送されている様子。(右)超音波ビームが作動していないときの様子。

2018

研究成果:Asia Haptics 2018で発表(デモ)

  1. [PDF] Mitsuru Nakajima,Keisuke Hasegawa, Yasutoshi Makino and Hiroyuki Shinoda: Remotely Displaying Cooling Sensation Using Ultrasound Mist Beam, Asia Haptics 2018, Live Demo Presentation, Incheon, Korea, Nov. 14- 16, 2018.
  2. 中島 允,長谷川 圭介, 牧野 泰才, 篠田 裕之, “超音波ミストビームによる遠隔冷覚提示,” 第19回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会(SI2018)論文集, pp. 530-533, 大阪工業大学 梅田キャンパス, 大阪, Dec. 13-15, 2018.

受賞:2019年度計測自動制御学会学会賞 学術奨励賞・研究奨励賞(2020.2.28)

図2:(左)実際のセットアップの様子。(右)システムの模式図。

2017

研究成果:IEEE Haptics Symposium 2018で発表

[PDF] Mitsuru Nakajima,Keisuke Hasegawa, Yasutoshi Makino, and Hiroyuki Shinoda: Remotely Displaying Cooling Sensation via Ultrasound-Driven Air Flow, IEEE Haptics Symposium 2018, pp.340-343, Oral Session 7B (Technical Papers), 25-28 March, San Francisco, California, USA, 2018.

応用例

本研究の成果は、VR、ヒューマンインターフェース、ロボティクス等の工学的な応用の他に、人の触知覚の特性を解明するための新しいツールとしての利用に期待ができ、幅広い分野に貢献します。

以下に、冷覚刺激を利用した応用例について挙げます。

目次

1:水中感覚の再現

日浦宏哉,鈴木颯,中島允,藤原正浩,牧野泰才,篠田裕之 “液面境界刺激による水中感覚の再現” 第25回バーチャルリアリティ学会大会, 2C3-4, オンライン開催, Sep.16-18, 2020. [Paper]

2:冷覚刺激を利用した注意喚起

小丹枝 涼哉, 中島 允,神垣 貴晶, 水谷 沙耶, 藤原 正浩, 牧野 泰才, 篠田 裕之 “非接触な冷覚刺激による注意喚起システム” 第25回バーチャルリアリティ学会大会, 2D2-1, オンライン開催, Sep. 16-18, 2020. [Paper]

3:水滴の触感の再現

鈴木 智也,神垣 貴晶,中島允,二宮 悠基,藤原 正浩,牧野 泰才,篠田 裕之,”空中超音波を用いた水滴の触感の提示,”第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集,pp. 638-640,福岡(オンライン開催), Dec. 16-18, 2020.

4:空中立体映像での温度感覚の再現

  1. 本山 花帆, 森崎 汰雄, 藤原 正浩, 牧野 泰才, 篠田 裕之, “集束超音波を用いた機械刺激と冷覚刺激の同時提示による低温物体の触感再現”, 第26回日本バーチャルリアリティ学会大会 (VRSJ2021) (オンライン, 2021.9.12)/論文集, 1E3-2.
  2. 中島允,小丹枝 涼哉, 牧野 泰才, 篠田 裕之, “集束超音波を用いた冷覚フィードバックを有するインタラクティブなフォグディスプレイ,”第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会論文集, pp. 647-650, 福岡(オンライン発表へ変更), Dec. 16-18, 2020.
  3. 中島允,牧野 泰才, 篠田 裕之, “集束超音波による冷覚フィードバックを有するフォグディスプレイの基礎検討,” 第25回バーチャルリアリティ学会大会, 2D2-1, オンライン開催, Sep. 16-18, 2020.[Paper]
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